そしてまた君は呟く
主人公は、思考映像化アプリケーション『ビジュアライザ』の使用を繰り返し、それによって視た幻想の海に次第に溺れていく。
現実と幻想の間を行き来しながら、その先に彼は何を視るのか。
0-1)人間じみた電脳の呟き
SS/SF/約2千字
「コンピュータである君が、人である私に愚かさを語るのかい?」
存在を決して認めないその孤独を誤魔化すように、彼はある遊びを始める。
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1)玻璃の樹木たる少女は微笑む
SS/幻想/約2千字
「きみは、まあるいの、好き?」
彼女の体は、まるで玻璃の樹木だった。
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2)可憐な白い花の愛する箱庭
SS/幻想/約2千字
「私はね、ここが好きなの。望んでこの場所にいるのよ」
世界のすべてが、彼女を優しく包んでいる。
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0-2)電脳の空と海に沈む
SS/SF/約2千字
『バグではありません』
アプリの動作に異常を感じながらも、彼は次なる幻想世界を求める。
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3)淫らな妖精は甘い蜜を纏う
SS/幻想/約2千字
「ここは狭くて温かいんだ。とっても落ち着くよ」
彼(彼女)は、肉の花の蜜を啜る、淫らな妖精だった。
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4)彼だけに見える愛しき景色
SS/幻想/約2千字
「視えるだろ? この箱の中に在るもの」
彼は視えぬほど澄んだ姿で、彼が愛する世界を一心に描いた。
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5)白と黒の世界でペンは踊る
SS/幻想/約2千字
『白い世界で、黒を纏ったペンが走り出す』
ペンはただひたすらに、美しき白と黒の世界を求め、創り出す。
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6)モノクロの遊戯に興じる黄金の天秤
SS/幻想/約2千字
「さあ、始めましょう」
モノクロームが生み出す緊張を、黄金の天秤が膨張せしめる世界。
私と彼のゲームが始まる。
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7)赤で繋がれた光と闇の主従
SS/幻想/約2千字
『時の流るるは、光と闇にだけ許された特権であるように思われた』
玉座で待つは、月光を浴び輝くガラスの靴。
控えるは、夜闇の毛色をした一匹の猫。
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8)昏き森は甘い死の香りで誘う
SS/幻想/約2千字
『それは死から遠くありながら、同時に最も近くもあった』
光を喰らって生きる昏き森は、むせかえる甘い芳香で死へと誘う。
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9)星は光と光の狭間で輝く
SS/幻想/約2千字
『裏返った光は、再び表へ。膨張と収縮を繰り返し、月光は還る――太陽へ』
光の中からさらに光を探しだす、途方もないその愛。
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