短編

  • 監視

     真っ白な部屋で、それを監視することが、ここでの僕の仕事だった。  それとは、目の前に置かれた巨大な強化プラスチック製の箱に収容された被験体だ。今日の被験体は、茶色く汚れたぼろ布のような衣服を身に着け…
  • ハキリ

     古い友人が失踪したのは、もう三年も前のことだ。事件性のない家出としてまともに捜査もされず、彼はそのまま消失した。  彼がいなくなったことで、世界の何が変わるわけでもない。それは至極当然の流れだ。世界…