ふたりの食卓
-
-
すべてを、夏のせいにして。
よく晴れた日中に部屋に篭もり、窓ガラスを通して、隣家の屋根の上、雲の少ない青い空をぼうっと眺めていると、世界からひとり置き去りにされたような孤独が感じられる。 けれどそれは、ひと月ほど前までの…
-
-
熱帯夜に、答えを。
異常な熱を感じていた。絡み付くような湿り気を孕んだこの空気に、だ。決して自分自身のせいではない。悠はそう自分に言い聞かせながら、勉強机に向かっている。 ベッドと本棚、そして勉強机だけが整然と設置さ…
-
-
何の変哲もない日曜日、食卓にて。
いつも通り、穏やかな日曜の朝だった。 午前十時。ようやく起き出してきた悠は、のろのろと誰もいない食卓に座る。洗濯機の音が家の奥から聞こえてくる。食卓の窓から見えるガレージには、父親の車が見えた。 …