属性:R-18
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暴力はすべてを支配する。 酸漿ぬかづき仰生あおいは、暴力を信仰していた。 彼が初めて他人に暴力を振るったのは、十二歳の時だった。 仰生は両親の顔を知らない。物心つく前から施設で育ち、施設の職員…
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とっくに廃校になったと聞く小学校のそばに、その店はあった。建物全体としては、民家のようでいて、しかし一階部分はガラスの引き戸を左右に開け放たれ、ごちゃりと物が並んだ棚が、外から丸見えになっている。 …
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最近、凪は少し変わった。 これまで、恋人である楓を溺愛するあまり、髪一本から足の爪に至るまでを満遍なく愛でることはあった。しかし、今は楓の身体の一部分に異常な執着を抱くようになっていた。 きっか…
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濡れたTシャツの白い布地が肌に張りつき、うっすらと皮膚の色が透けて見えた。女のような膨らみなどない、まっ平らな胸。しかしそこに、二つの尖りがはっきりと存在を主張している。 「凪、も、しつこい……って…
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流川ながれかわがオーナーを勤めるコンビニの二階が、彼の住居だ。 人件費削減のための長時間労働を終え、疲れた体で二階に上がり、玄関を開けると、見計らったように奥から声がかかった。 「流川さ~ん、ねえ…
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ベッドに押し倒した相手にキスをしながら、その耳に触れるのは、水無瀬の悪い癖だ。舌を絡ませ、唇を食み、わざといやらしい水音をたてながら、同時に指で耳朶の端を摘まみ擦り、耳介に沿って撫で上げれば、はした…
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鳥羽千波ちなみの記憶は、幼馴染みである伊勢嶋史樹ふみきの花綻ぶような笑顔で始まっている。 『ちなちゃん、これ、もらってくれる?』 まだ小学生にもならなかった頃、史樹から突然差し出されたのは、ジュズ…