10001字~15000字 イトマキニンゲン 単発/読切 アパートを出て、駅に向かうまでの道のりで、『今日はいやに人通りが少ないな』と、なんとなくは思っていた。本当に『なんとなく』だ。けれど、両耳は音楽プレイヤーから伸びたイヤーフォンで塞がれて、外の音なん… ハキリ 単発/読切 古い友人が失踪したのは、もう三年も前のことだ。事件性のない家出としてまともに捜査もされず、彼はそのまま消失した。 彼がいなくなったことで、世界の何が変わるわけでもない。それは至極当然の流れだ。世界… 12