要素:精神不安 雨の降る夜に、恋は 単発/読切 それは、幸福な幻想だった。僅かに開いたドアのすき間からこぼれ出した、愛しい紫煙が我が身を包む、身勝手で愚かなまぼろし。 たたん、たたん。錆びた金属製の手すりを雨粒が叩く。打ちっぱなしコンクリートの… 明く年 単発/読切 しんと冷えた夜の空気が、開け放った窓から流れ込み、私の体を包んだ。肺の奥まで凍えるような外気は、ぬるま湯に浸かったようにぼんやりと浮かれ現実感を失っていた私の脳を、すぐに覚醒させてくれた。覚醒すれば…