その柳の下に[四章]

四、枝垂れ

 

 西山と再会した日以降、柳は書斎に籠りがちになった。日課の散歩もしなくなった。私から散歩へ誘ったこともあったが、彼は曖昧な返事をするだけで、すぐにまた書斎に戻ってしまう。食事はすべて、はる恵が部屋に運んでいたが、手つかずのこともままあった。見兼ねたはる恵が呼んだ医者も、彼の拒絶を受け、書斎に踏み入らぬまま帰ることを余儀なくされた。

 柳が書斎に籠城している間、何人かの客が屋敷を訪れたが、私が事情を話すとそれが次第に広まったのか、ひと月ほどでその足も殆どが遠のいていた。

 そんな中でも、秦野だけは週に一度は屋敷に顔を出した。近くについでがあるのだと口にはしていたが、彼とて柳の様子が気掛かりであったのだろう。そこに彼の本心を見た気がして、私は木の洞の中に隠れていた腐った樹液溜りに誤って触れてしまったような、何とも不愉快な気持ちにさせられた。その上、秦野が時折、私が立ち入ることのできなくなった書斎に、他ならぬ柳によって招き入れられていたことは、私の不快感に拍車をかける結果を生んだ。

 私は、秦野と柳が密室の書斎で、一体何事を話しているのかが気になって仕方がなかった。ひっそりと部屋に忍び寄って聞き耳を立ててみても、ふたりのやりとりを確認することはできず、それが却ってまた私を悩ませた。

 柳が、私ではなく、再び秦野に目を向けるのではないのかと思った。そうなれば、建前上の書生という役割すらついに奪われ、宇都美の家に戻されるのではないか。そんな懸念だけが、私を支配していた。胸に穿たれた穴の底で、誤って触れた琥珀色の液がさらにその粘度を高めながら、ゆっくりとかさを増していた。

 この粘着質な焦燥を紛らわせるために『嵐中記』はうってつけの材料であった。柳の真意が解らずとも、少なくともこの小説が私だけのために書かれたものだという事実がある限り、多少は落ち着きを取り戻すことができたのである。

 柳に会うことが叶わない中、私は短い小説をいくつか書いた。その殆どに、苦悩や焦燥を抱えた人物を主人公に据えていたことは、決して故意のことではなかったが、たまたまだと片付けてしまうこともできない。

 この時書いた小説の中に『不忍池の淵』というものがある。題名の通り、舞台は上野不忍池だ。故郷から届いた父親危篤の旨を、父親との確執を理由に無視したことを悩み続ける奉公人の男。そして、父母の死を苦に身投げしようとしていた若い女。ふたりが不忍池で出会い、互いの身の上や想いの丈を打ち明けながら、次第に心を通わせていく様を描いた短編だ。

 私も柳とこうして通じ合えたなら、どんなに良かったことだろう。筆を走らせる私の中に、そういった想いが少なからず存在したことは、疑いようのない事実であった。

 これらの小説を、私はみな秦野に差し出した。彼はその全てに目を通し、褒め、丁寧に赤を入れた。私が続けて小説を書いたことを、彼は大いに喜んだ。だが反対に、私の精神には暗い影が差していた。自分自身の本心を明らかにするために小説を書き始めたというのに、暴いた端からそれを覆い隠したくなっていたのだ。

 この不健全な精神の不均衡を修正するためにも、私はひたすらに空想の中の苦悩を取り除き、そうして創り出した偽りの平穏に、繰り返し身を落とし続けたのだった。

 

 翌昭和三年。十三の頃より柳の屋敷に暮らし始めた私も、既に数え十七歳となっていた。大震災によって崩れ落ちていたという言問橋や清洲橋が、この年ようやく竣工し、また、三月には上野で博覧会も開催されたため、私が来た頃に比べると、東京には更に活気が溢れていたのではないかと思う。

 だが、そういった賑わいとは、私は全くの無関係であった。柳は、前年秋頃からの神経衰弱が続いていたため、年が明け、春が訪れ、庭の花々が綻び、緑が濃くなってなお、ろくに部屋から出ようとはしなかったのである。

 はる恵や秦野の口伝てで、おおよその世間の動向くらいは私の耳にも届いてはいたが、それ以上のことを知りたいとは思わなかった。私にとっては、屋敷の外の出来事よりも、屋敷の中のたった一枚扉を隔てた向こう側のことだけが気がかりだった。

 四月。既に上野の桜も散ったであろうと想像できる時分になってから、書斎と廊下とを繋ぐ扉は、何の予兆もなく唐突に開かれた。

 この日も柳の食事は、はる恵によって書斎に運び込まれていたし、その際にも、柳は特段これまでと代わり映えのなく落ち込んだ様子であったと、彼女から聞いていたから、それは本当に、予想だにしない出来事だった。

 

 木扉が軋む音を聞いたのは、すっかり夜が更けてからだ。私は寝入っていたのだが、不意に聞こえたその音で目を覚ました。

 庭の遠いところで、蛙がまだ見ぬ恋の相手を求めて鳴いていた。室内の空気が、僅かに重く湿り気を孕んでいる。その、どこか緊張感のある暖かさが、近付きつつある雨の気配を窺わせた。扉が軋んだのも、恐らくそのせいだろう。

 私はその音が、はる恵ではなく、柳によるものであると、不思議な確信を持っていた。真っ暗な室内で、私は手探りで壁に立てかけた杖を掴むと、転ばぬように慎重に、そしてなるだけ音を出さないように、注意して部屋を出た。

 廊下の先に、私は小さな炎の明るさを見た。書斎の扉の前に、柳が火を灯した手持ちランプを提げて立っている。もともと痩せぎすではあったが、さらに頬がこけており、顔色も悪かった。

 柳は、私が廊下に現れることを予見していたのだろうか。私の姿を認めても、驚くどころか、目を細め、柔らかく微笑していた。その表情は、彼と納屋で初めて出会った日のことを思い出させた。私の胸に醜く穿たれた穴に、そっと手をかざされたような安堵感があった。

 左の人差し指が痛んだ。無意識のうちに噛み締めていたのだ。頬が濡れていた。杖を握る手も震え、私はその場に膝から崩れ落ちた。

 それらは半年、否、それ以上の間押さえつけてきた、柳に対する感情のすべてだった。これらを理解し、言葉に表したいがために、私は小説を書いていたのだ。その行動が活きたのか、それとも全くの無駄であったのかは判らない。だが、渦のように入り混じる感情の中心で光るたった一粒を、私はようやく掴んだような気がしていた。

「順二郎」

 彼は私にゆっくりと歩み寄ると、杖を拾い上げ、差し出してきた。掲げたランプの明かりの上で、互いの視線が交錯する。彼の瞳の奥に映る、小さな炎が揺らめいた。この炎にならば、灼かれたとしても、きっと幸福のうちに死ねるであろうと、まっさらな頭で私は考えていた。

 炎が、柳の顔が、涙で滲み形を失う。そのあまりの虚しさに、歯を立てた指と唇との僅かな隙間から、堪えきれなかった嗚咽がこぼれた。

 

 半年間立ち入ることのできなかった書斎に、私は招き入れられた。光源は、柳が提げているランプのみだ。その頼りない灯りの中、私は周囲をぐるりと確認した。

 ぎっちりと書籍が詰まった背の高い書架に、仕事机。ソファにテーブル。それら自体に変化はないものの、ランプの灯りのせいか、それとも何か別の要因のためか、重く陰湿な空気が蚊帳のように天井の辺りから垂れ下がり、部屋全体を覆っている。そこに、ほのかな黴臭さが漂っていた。

 未知の、それも異質なる世界に迷い込んでしまったようだった。心細さすら覚えたほどだ。しかし、腰を沈めたソファの、革の張りと冷たさが、そういった気を多少和らげてくれた。

 私は、自然身を固くして、じっとテーブルを見ていた。ランプはテーブルの端に置かれていたので、そこだけが橙色の穏やかな光に包まれている。

 目の前に、葡萄酒の瓶、そしてグラスがふたつ現れる。片手で携えられたグラスの縁が微かに触れ合い、かちかちと細かく音を鳴らしていた。それぞれは、やや距離を取ってテーブル上に置かれた。

 柳は黙って瓶の栓を抜き、両方のグラスに三分ずつほど葡萄酒を注いでから、私の隣に腰を下ろした。

 透明な壁の中で波立つその濃い赤を目にするのは、二度目だ。膝の上に置いた両手を見やる。昨年の夏、柳によって施された鮮やかな爪紅は、もう面影すら残していない。白く濁り、表皮を剥いだ木肌のような、病的な姿を晒したそこに、宝石のような美しさを幻視することは、もはや叶わなかった。

 ふたりの間に流れる沈黙は、長く続いた。炎がランプの芯を焦がす音だけが、世界のすべてであるように錯覚する。葡萄酒の注がれたグラスには、私も柳もまだ手を付けていない。それはまるで、沈黙に対する供物であるようにさえ思われた。

 私は、この時間が永遠に続いたとしても構わなかった。だが、柳にとっては望んでいたものではなかったのであろう。窓の隙間からゆるりと流れ込んだ外気が、ランプの炎を限界まで小さくしたのを合図に、彼はゆっくりとグラスを手に取ると、葡萄酒を一口だけ、口にした。妖艶な濃い赤を嚥下する、その喉元の上下運動を、私はただじっと見つめるほかなかった。

「――私は」

 彼の視線は、私には向けられず、彼が手にしているグラスにのみ注がれている。

「私は、君に、生き方を教えると言った。好奇心を持ち、何かを強く求めること。よく動き、感覚を総動員させ多くを感じ得ること。私が提示したのは、たったこのふたつだ。……順二郎、きみはまだ、死にたいなどと思うことがあるかい」

 燃えた油が放つ、額の裏側に渦を巻きながら留まり続ける矢のような独特のにおいが、僅かながら辺りに漂っている。遠くで鳴く蛙の声が、いつしかふたつ、重なっていた。私は、ランプを見つめたまま、彼の問いに黙って首を横に振った。

「きみは東京に来てから、多くのものを見、感じ、考えたことだろう。それらの経験は、必ずきみを生かす。決して死なせたりはしない。私の教えた生き方は、もはやきみの一部と化している。それは、私にとって喜ばしいことなのだ。本当に……心から、喜ばしいことなのだよ」

 喜色からは程遠い柳の声色に、私は思わず身体を捩って、縋りつくようにして柳を仰ぎ見た。

「先生、では……っ」

 ――何故、そのような悲痛な物言いをなさるのですか――

 そう口にしかけて、しかしすぐに言葉を飲み込む。彼の目が、そうさせた。僅かに細められた瞳の奥からは、喜色はおろか、すべての感情が一切失われていた。その視線は、私を通してどこか別の場所を見ていた。その様は、まさに虚であり、無だ。私は、ようやく塞がれたと思われた胸の穴を、彼の昏い瞳の内に幻視した。納屋で暮らしていた頃の自分を、客観的に目の当たりにしているようだった。

 全身を襲う、酷い倦怠感。不具の右足だけが、内側からぐじぐじと疼いていた。その鈍い疼痛は、いずれ目にするであろう肉体の腐敗の予感である。

 私は、そのまま黙って目を閉じた。彼の姿を目に入れないことが、私にできるせめてもの気遣いであった。弱々しいランプの灯りが、瞼の裏にまでも透けていた。

「ああ、順二郎、きみはとても聡明だ。そして、出会った頃と、何ら変わりなく純粋だ」

 私の頬を、かさかさと乾ききったものが撫でていく。それは、春というのに、冬の水のように冷たい。自然、身が縮こまる。

「だが……」

 頬に触れた刹那の冬は去った。

 テーブルの方で、かちりと硬いものが触れ合う音がして、瞼の裏に闇が押し寄せた。ランプに蓋がされたのだ。

 蛙が軽快に鳴いていた。鳴き声だけでは、もはやその数を捉えられない。庭の木々を、はらはらと打ち付けるものがあった。きっと雨が降り出したのだろう。

 右手首が掴まれる。そうして、私の手は、彼のもう片方の腕へと導かれた。誘われるままに、乾いた皮膚の上を指が滑る。この時、私の五指は何の作為も宿していなかった。期待や悲哀、恐怖、そういった諸々の感情とは全く無関係に、指先は小さな谷を越え、ついに核心へと触れた。柳の手が離れていく。私だけが、そこに残された。

 異様な緊張感が漂っていた。台地のように隆起した肉は、今にも破裂しそうなほどに張りつめている。引きつったその薄い表皮越しに、私はその肉を、人差し指の腹でそっと押してみた。すると、それが意外に硬さを持っていることに気付く。辿っていけば、肉の台地は肩の辺りまで続いていることが判る。

 酷い息苦しさを感じ、慌てて大きく息を吐き、吸う。それを数度繰り返す。

 私が導かれた先にあったのは、先の震災が彼の身体に残した爪痕だった。幼い私が、その見た目の恐ろしさから触れることを拒んだ、あの火傷の痕だ。

「……だが、私には、きみの聡明さと純粋さが、時折、堪らなく恐ろしくも感じられるのだ」

 彼の一言は、雷の如く私を打った。猛烈な後悔が、私の胸に押し寄せていた。

 ――この火傷の痕こそが、私が知りたがった彼の本質だったのではないか。だからこそ彼は、私にこうして触れさせたのではないのか――

 柳は、私の腰に手を添え、ゆっくりと私の身体をその場に倒した。二人分の重みによって、ソファに張られた革が深く沈み、蛙を潰したような音を鳴らす。

「順二郎、私は……私は……」

 唇の上を、乾いた感触が掠めた。葡萄酒の香り混じる吐息が、熱く首元に感じられる。皮膚の薄い部分をちりちりと刺激していたのは、彼の口髭に違いない。節くれだった指が、私の浴衣の袂から侵入し、肩口を撫でた。

 私は暗闇の中で、部屋を支配する衣擦れの音をただ聞いていた。彼に対して無心かつ従順であることが、私が生きる上で許された唯ひとつの道なのだと思えていた。

 蛙の声も、雨音も、彼のうわごとめいた呟きも、もはや私の耳には入ってこなかった。

 

 灰色の帳の中にいるような朝だった。目にするものすべてに色がなく、身体は異様に重く、頭は鈍い。指先ひとつ動かすのも億劫で、暫くは薄目を開けたままじっとしていた。

 私が目を覚ました場所は、ソファの上ではなく、ベッドの中だった。しかし、自分の部屋とは、机や窓の位置が異なっている。だが、それが何を意味しているのか、鈍った頭ではすぐに理解できなかった。

「起きたのかい、順二郎」

 扉が開く音に続いて、柳の呼びかけが聞こえた。目玉だけでも声の方へと向けようとしたが、倦怠感に飲まれ、すぐに諦める。

 私が黙っていると、彼がこちらに寄って来る気配がした。椅子の足が床を擦る。私の視界には、椅子に掛けた彼の腰から下だけが映った。

「……昨晩は、すまなかった」

 柳は、視線を合わそうとさえしない私に、申し訳なさげに声を潜めた。私が口を噤んでいるのは、昨晩の彼の行為に腹を据えかねたためだとでも思ったのかもしれない。

 名状しがたいやるせなさに包まれる。私が求めていたのは、謝罪ではなく、理由だ。彼を昨晩のような行為へと駆り立てた理由こそが、私は欲しかったし、必要だった。だが「欲しい」と私が口に出せば、彼が一体どんな反応をするかが解からず、それだけが――本当に、ただそれだけのことが――何よりも恐ろしかった。

「私は、どうやらきみを、国許に帰さねばならぬようだ」

 だからこそ、柳のこの言葉は私を怯えさせるには充分過ぎた。

 思わず布団から手を伸ばし、彼の膝の上に置かれた右手を掴んだ。上半身が僅かに起き上がる。目には見えない無数の岩が、全身に重くのしかかった。

「どうして……、どうして先生は、そのようなことを仰るのです。国許に帰ったとしても、一体どんな仕打ちを受けるかしれません。ぼくには、先生のおそば以外に、もはや行く場所などないのです。それでも先生は、どうしてもぼくに、この屋敷からどこかよそへ行って欲しいとお思いなのですか」

 ひりだした声が、虚しく掠れる。喉がじりじりと刺されるように痛んだ。しかし胸の内は全くの無痛であった。麻痺してしまったのか、或いは与えられ過ぎた痛みで壊れてしまったのか――恐らく後者なのであろう。そうでなければ、私が柳に対して、このように分を弁えぬ、一方的な追求をするはずがないのである。

 柳は、しばらく俯いていた。

「そうだ。……だが、違うとも言える」

 おもむろに顔を上げるなり放たれた、どっちつかずの返答に、私は、私の中で渦巻く感情のやり場をすっかり失ってしまった。いっそかつて父親にされたように、身体を殴られでもしたほうが、よっぽどましだった。

 柳は、私の手の甲に、自身の手を重ねた。その手の暖かさが、酷く懐かしく感じられた。それに引きずられるように、頭に祖母の姿が浮かぶ。

 東京に来てから、長い間思い出すことのなかった祖母の面影を、私はかつて柳の中に見出していたはずだ。だが、気付かぬうちに、ふたりの存在を重ねることはなくなってしまっていた。そのことに思い至っても、不思議と喪失感は伴わない。ただ、祖母の思い出を記憶の片隅に追いやっていたように、柳の存在が私の中で小さなものになってしまうのは、孤独以上に耐え難いことのように思えたのだった。

「……私には、きみの問いに答えを出すことができない。そしてそれは恐らく、世界中の本を読み尽くしたとしてもなお、出せるものではないのだよ」

 口元には、うっすらと苦笑いが浮かべられている。

「先生は覚えていらっしゃらないかもしれませんが……以前も、同じことを仰いました」

「ああ、忘れるものか。あれは、きみと初めて出会った日のことだ。――あの日の答えと、今日の答えは、同じなのだよ、順二郎。そして、言葉を操ることを生業としている私が、唯一言葉にできないことなのだ」

「……先生は、そのことを、歯がゆいとお思いなのですね」

 かつての私と、目の前の柳の姿が、酷く似通ったもの、或いは全く同一のものであるようにすら感じられていた。

「歯がゆいさ。かつてのきみと同じでね」

 我ながら、おこがましいことを口にしたものである。だが、柳は機嫌を損ねるどころか、それにすっかり同調した。

「だが、答えが出たとしても、それを口にすることは、決して許されないのだ」

「何故」

 彼は答えなかった。ただ黙って、私の頭を、幼子に触れる手つきで撫でた。乾いた五指の感触は、気怠い身体にくすぐったさを、そして胸の奥底に砂のようなざらりとした不安をもたらした。

 私はその日、丸一日を柳の寝室のベッドで過ごした。柳もまた、寝室の机の前に座って、ずっと書き物をしていた。彼が操るペンの先が紙を捉え、線が走る音。そこに雨音が混じり、ふたりきりの部屋を満たしていた。

 

 

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